５５１

定時まで仕事をしての帰り道だった。

夕方６時半ごろの大阪メトロ御堂筋線は、ミッチリ混雑していた。

『お腹すいたなぁ〜』

早く帰って晩御飯を食べたいなぁ、と思いながら、スマホでニュースを読んでいた。

すると、どこからともなく例の香りが…。

それは大阪人なら、ほぼ 100% の人が察知できるであろう『５５１のシュウマイ』の香りだった。

『どこから来てるか、この香りは！』

周りを見渡すと、ひとつ隣の席のビジネスマンが紙袋を持っていた。

『多分あの紙袋の底に隠されているに違いない』

やはりその紙袋の中にオレンジ色の小箱が、チラリと見えた。

紙袋の底に入れたくらいで大人しくしている５５１ではないのだ。

やがて、その車両中に行き渡るくらいの香りが流れ出た。

関東でも『崎陽軒』とか有名所はあるが、ラッシュ時の地下鉄に持ち込む人は、いるだろうか？

駅の近くで購入して、そのまま、ラッシュの電車に乗っても、あまり問題にならないのは大阪ならでは、な気がする。

あの車両に乗っていた何人かは帰り道で、５５１に寄ったに違いない⁉

狸も寄り道したかったが、あいにく狸家の近くに５５１は無いのだった。

新大阪乗り換えにすると駅ナカに有るんだけどね。

通勤経路を変更しようかな。

©Tanu記