生きていく上で交渉力はなにかと必要だ。仕事でもプライベートでも誰かに何かを頼まずにいることは、まずないだろう。
先日すずめと買い出しの帰りに、お腹が空いてファミリーレストランで夕食を食べることになった。
我々の隣のテーブルに3歳くらいの女の子が父親と一緒に入ってきた。女の子は体操教室かクラブなのか、体操服で水筒を下げていた。
席に着くと父親に今日のかけっこの練習の成果を報告し始めた。報告を聞いていると、どうやら新しい運動靴が欲しいらしい。
こどもらしくストレートにねだるかと思いきや、この女の子は、こう切り出した。
『あのね、今履いてる靴はね、走ってると脱げてしまうねん。』『そやから、〇〇ちゃんに負けてしまうねん。』『そやけど、△△ちゃんの履いてるベリベリっとやるやつは、脱げへんから負けへんと思うねん。』
父親は『そう(^_^)』と。この後どうなったかは分からないが、この女の子は新しい運動靴を手に入れたのではないだろうか。
さすが大阪人、素晴らしい交渉力だ。『欲しい』『買って』とは一言も言わずに、現装備の具体的な問題点と、その解決方法を、これまた具体的に示している。
すずめと耳ダンボで女の子の意見を拝聴して『どこで会得したかわからないが、若干3歳にしてこの交渉力。この子はきっと大物になる』と、二人で頷きながら店を出たのだった。
©Tanu記