『それはあなたの英才教育のおかげよね』と、すずめが、ニヤニヤしながら言った。
こどもたちが小さい頃、確か下の子のおもちが3歳になったころに、ふたりに半田ゴテを使って半田付けを教えた話は、すでに書いたかもしれない。
話はそれるが、こどもたちが3歳の時に半田ゴテの使い方を教えたことを、以前すずめに話したら『やけどするかもしれないのに危ない』と言っていたが、当のすずめも、にゃんこが3歳の時に包丁の使い方を教えていたのだから、似たようなものである。
で、幼稚園のころから、時々狸が電子工作キットを買ってきたり、回路を考えて一緒に作ったりしていた。
ふたりが小学校の低学年の頃にラジオに興味を示したので、作ってみたのがこれだ。
秋葉原で買ってきた、2石レフレックス回路のラジオだ。キットになっていて別に揃えるものは乾電池くらい、というお手軽さ。
それでもスパイダーコイルを一から巻くところに魅力を感じてこれにした。3人でワイワイ言いながらコイルを巻いて、半田付けをして、出来上がったところに乾電池を入れてワクワクドキドキしながらスイッチを入れてチューニング。
クリスタルイヤホンから独特のキンキンした音が流れたときには大歓声が上がった。
その後ふたりとも就職して、ものづくりに勤しんでいる。狸の英才教育がほんの少しでも役に立っていたなら、バンザイだ。
©Tanu記