松茸は秋の味覚の一つだ。
すずめの実家では松茸のシーズン中に数回は松茸ご飯を炊くそうで、すずめは今年も松茸を買ってきて御両親にご馳走すべく準備をしている。
今年の国内産の松茸は『桁一つ多いのでは?』という感じの値段なので香りが良い中国産の物を買ってきた。
狸の実家では松茸ご飯という料理は無くて、もっぱら土瓶蒸しか薄く切って焼いたものに柚子を絞っていただく、というオーソドックスなもの。
狸がこどものころは、国内産の松茸もまだそこまで高価なものではなかったらしく、亡父の会社の親睦会に付いて行って、松茸取りと取れた松茸の入った、すき焼きを食べた思い出がある。確か、あれは有馬温泉の方だったかな。
こども心に『香りは良いが味がしない変な物で、美味しいものではないなぁ』と思った記憶がある。
というわけで狸は松茸にそこまで思い入れはないのだが大人になった(歳の?)せいか香りには秋を感じるものが有る。
その昔、秋にコロラド州のロッキーの麓の街に出張で出かけたことが有った。現地の人と松茸の話になり『そのキノコならたくさん生えてるよ。日系人と韓国系人しか食べないからね』と言われた。『取りに行く?でもピューマが出るから気をつけてね』『え〜っ⁉ じゃあ止めておくよ!』
その松茸も今は商売で取りに来る人がたくさんいて、高いものになってしまったそうだ。
©Tanu記