気温が下がってきたので鍋が恋しくなってきた。
にゃんことおもちが独立して家を出てからは、すずめと二人で鍋をする機会はほとんどなくなった。
二人で鍋をしてもすぐに終わってしまうので面倒になった。
そんな折、おもちのお誕生会をすることになった。『何か食べたいものは有る?』『狸の味付けの、すき焼きをみんなで食べたい!』
で、やることになったのだが『最後に狸家で、すき焼きをやったのはいつだっけ?』『ええっと、会社の〇〇君と食べたのは千里中央の、すき焼き屋か~』『家では、やってないねぇ』
記憶に残っている限り、5年くらいは、やっていない。狸家では亡父も鍋の味付けを一手に引き受けていて、狸も鍋のときは味付けを引き受けている。
おもち曰く『ウチでやっても旧狸家の味にならないんだよね~』。
味付けを忘れてしまっているかもしれない、と、すずめと、予行演習を敢行した。
狸の作る、すき焼きは極めて単純である。この時とばかりに背伸びをして高い牛肉を買って、味付けはキビ砂糖と丸大豆のみの醤油、それと純米酒(狸は呑まないけど)。水は足さずに野菜の水分だけで補う、というもの。
常に薄味の狸家も、こと、すき焼きに関しては濃い目だ。
さて、作ってみて、すずめに味見をしてもらった。『どぉ?』『いつもの味だよ』良かったなぁ~。
美味しかったけど霜降り肉だと胸焼けするようになったのが残念だ~。
©Tanu記