夏休みに、どこかで忘れてきたと思っていた。
確実に着用していた日・場所以降に訪れたレストランやら、博物館やら、全部に電話して探してもらったのに、出てこなかった。
期間中に持って行っていた、バックパックの中、1日だけ使ったショルダーバックの中もくまなく見たのに。
『きっと、ナルニア国に行ったんだろう』
我が家では、確かに有るはずのものが見つからないとき、ファンタジーの『ナルニア国物語』に準えて、異空間に行ってしまったことにしたりする。
今回のは正にそれだ。
狸のサングラスは、マグネットオンタイプ。
普段は遠近両用として使いながら、眩しい時はサングラス部分を”パチっ”と付けるだけのヤツ。
無くなったのは、そのサングラス部分だけだったので、もう諦めよう。
秋に海外旅行に行く前に新しいのを作れば良いじゃない?
って、なっていた。
狸が使っているバックパックは、もはや体の一部になっていて仕事に行くにも買い物に行くにも、コレひとつ。
だから、夏休みから1ヶ月くらいは会社に通っていたはずだ。
新型コロナから回復しつつあった、ある日。
その、バックパックの中に何やら手応えがある。
ん〜?
探ってみると、果たして、サングラスだった。
え〜っ!
この中も随分探したのに。
きっと、ナルニア国から戻ってきたに違いない。
そう信じよう。
©️Tanu記