勤労感謝の日は出勤だった。
狸の務める会社は土日休みの週休二日制なので祝日は基本的に業務が有る日だ。
今の職場になってからは電車通勤なので、電車が空いている祝日は助かる。
また祝日に有給休暇を取得する同僚も多いため、コドモも巣立って祝日が特に関係ない狸は、祝日は職場に出て仕事をすることにしている。
事務所に出てきている社員からは『勤労感謝の日なんだから、家族に感謝してほしいよなぁ』という恨み節も聞こえてくる。
が、日本の勤労感謝の日は、国民の祝日に関する法律の第2条によれば『勤労をたつとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう』日となっている。
古めかしい言い回しでわかりにくいので現代風に言うとどうなるのか調べると「仕事を大事にし、作ったものを国民皆で喜び、感謝しあおう」ということになるそうである。
つまり、日本の勤労感謝の日は『勤労する人』に感謝する日ではなく『仕事と成果』に感謝する日なのだった。
そこへ行くとアメリカの勤労感謝の日に当たる『レイバー・デー』は『労働者とその家族の祝祭を行う』となっていて、働く人たちと家族の日になっている。
さすが自由の国だ。
日本も『労働者の日』を設定してくれないかな。もっとも狸が労働者でいるのも、残り僅かとなったけれど。
©Tanu記