その頃でも古い車だっただけにトラブルも、いくつか有った。納車されたのは11月の初めだったと思った。
朝の通勤時はずいぶん寒くなっていた。クルマはヒーターが有るから良いなぁと思っていたが、どうもおかしい。走っても温まってこない。会社までは片道15kmほどだが、走っていても水温計の針はcoldのまま。
職場の先輩に聞くと『サーモスタットが壊れているんじゃないか』という。保証がついていたので中古車屋に持って行った。『部品が届くまでちょっと我慢してて』と言われて(今から思えばのんびりしていたなぁ)、仕方がないので次の一週間は、ラジエターの前にダンボールを貼って走っていた。
次のトラブルは高速道路を走行中だった。正月の帰省のため夜の東名高速を走っていたときのこと、急にエンジンの力がなくなってスピードが落ちてきた。なんとか非常退避帯まで走って非常電話を使用。クルマやモーターサイクルには40年近く、100万kmは乗っているが、非常電話を使ったのは今までこの1回きりだ。
『事故ですか、故障ですか?』『故障です!』『じゃ、JAFにつなぎますね』で、凍えながら待つこと数十分。『ディストリビューターのコンデンサーがショート気味ですね』『応急修理を施しますので早めに修理工場に行ってください』JAFがとても頼もしく見えた。
買った中古車屋は全国展開だったので、大阪の店で保証で修理してもらった。冬の終わりに、ラリーの練習車がほしいという友人に譲るまでの半年間、約1万5千kmの相棒だった。
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