狸は早起きな方だ。
出社の日は6時前に起きて、6時少し過ぎには家を出て歩き始めている。
1月26日は、そんな日だった。
少し回り道をして歩きながら朝焼けが広がり始めた東の低い空に、ひときわ明るく輝く星が見えた。
金星、明けの明星だ。
内合から、まだ2週間くらいだが、もうこんなに高く登るようになってきた。
大昔、狸が中学生のころだと思う。『金星は青空の中でも肉眼で見える』と天文の入門書に書いてあった。
太陽と月以外は青空の中で見たことがなかったので、ぜひとも見たいと思っていた。
学校で理科の先生だったかに『見るコツ』を聞いたら『早起きして明けの明星の時に暗いうちから眺めておいて、だんだん明るくなっても見つける練習をすると良い』と教わった。
そこで『天文年鑑』で最大光輝を待って決行。
すると意外にも簡単に、太陽が登って青空になるまで肉眼で追いかけることが出来た。
青空の中の金星を確かめていたら、遅刻しそうになって大慌てで学校へ行ったのは言うまでもない。
2月13日が最大光輝。その前後半月間ほどは青空の中の星を見つけるチャンスだ。
皆さんもチャレンジしてみてはいかがだろうか。
©Tanu記