狸の実家には、ふかふかの座布団が何枚か有った。
いわゆる『お客様用座布団』というやつだ。そのなかでも特に立派なのが『お坊様用』だった。
実家を整理したときに一般用?の薄い座布団は処分してしまったが、あまり使っていない座布団は残してあった。
洋室でもお坊様は床に座って読経をするので、『お坊様用』一つ残しておけば良く、お座敷も今後の住まいには無いから、『お客様用』は不要だ。
というわけで、捨てようかどうしようかということになった。中綿は今入手しようとするとそれなりの金額になりもったいない。
すずめが『布団に打ち直しましょう』と提案してきた。狸は知らなかったが、座布団も綿のものなら4~5枚で立派な敷布団が出来上がるそうだ。
ということで、頼んでみた。
打ち直しと除塵、綿のかさ増し、往復の送料込みで11000円。新しい布団を買うのと変わらないが、昔の品質の良い綿を有効活用できるという点でこれにした。
通販サイトから注文すると袋が送られてきて宅配便で送り返す。しばらくすると敷布団に変身して戻ってくるわけだ。
狸の場合、座布団は5枚が2週間ほどで戻ってきた。できたてなので厚みが増していて、フカフカである。
思わずごろんと寝転んで、昼寝したくなってしまった。
©Tanu記