通勤時の電車に、たまに盲導犬を連れている方が乗っているのに出会う。大きな黒い犬が床に寝そべっているのを最初に見たときには、ちょっと驚いた。
その犬の横には誰も立っていなかったので、静々と近寄っていって立ってみた。すると普通の飼い犬がそうするように、盛んに狸のズボンの裾あたりの匂いを嗅いでいたが、またすぐにおとなしく寝そべっていた。
さて驚くのはこれからで、何週間かしてまた一緒になったとき、その犬は狸の匂いを一瞬嗅いで『ふふん、知ってる匂いだ』と言わんばかりに寝そべっていた。覚えているんだね、凄いな。
犬のご主人が降りるときは一つ前の駅で準備をされるのだが、その犬はご主人が準備をされる前にちゃんとご主人の顔を見ているのだ。窓の外の景色を見ているでもないのに、なぜ『そろそろ準備を始めるころだ』って分かるんだろう。
一時期、盲導犬に成れるかも知れない子犬を10ヶ月くらい預かるボランティアの『パピーウォーカー』をやりたいと思ったことが有ったが、社宅では動物を飼えないのと、対象区域でないので諦めた。
今でも一度だけでいいから、やってみたいと思っている。すごく大変そうだけど。
©Tanu記